夢名残の空9


建物は何年も放置されていただけあって廃墟と化しており窓ガラスが割れ、歩くたびにジャリジャリとガラスの破片を踏みつける感触が靴の中からも感じられた。
1階、2階と見て回ったが骸らしき人は見当たらない。
獄寺は1階から2階へ上がる階段前で千種を足止めするため残ってくれた。
だんだんと仲間が減っていく状況に綱吉はとても嫌な感じがする。
もしかしたら『1人になってしまうかもしれない』という思いがあるからかもしれない。
中学に入るまではいつも1人でいた。
でもリボーンが家に来て獄寺、山本らと友達になり、そしてヒバリさんが傍にいてくれて今まで一人でいたのが不思議なくらい幸せだった。
そんなことに今、気が付く。
だから骸を止めなければ。
たとえ彼が綱吉の記憶を呼び起こすこととなっても。その記憶になにがあろうとも。
怖いけど友達が傷つくのはもっと怖い。
やがて3階への階段を見つけ進む。どうやら映画館だったらしく破れたポスターやパンフレットが散乱していた。
一つ一つ劇場のドアを開き確認していく。そして彼がいた。
映画のスクリーンがあったと思われる場所にソファーがありそこに骸は座っていた。
変わらず笑みを浮かべたままで。
「いらっしゃい、綱吉君。待ってましたよ。」

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

「フゥ太!大丈夫か。」

するとソファーに座ったままの骸が言った。
「やはり君は昔から変わっていませんね。人の本質を見抜くのが相変わらず得意なようだ。彼、一番望むことを言い当てられクラッシュしちゃったようですね。」
すこし困ったように目を細める。
「実はボンゴレ10代目の所在のあたりをつけ日本にきたのですが特定にいたりませんでした。そこで10代目と知り合いだというフゥ太くんに来てもらったのですが“沈黙の掟”を貫き通し、心まで閉ざしランキング能力まで失ってしまった。それで最近フゥ太くんの目撃情報が多い並盛にあたりをつけた訳です。」
「だから以前に作られた並中ケンカランキングを使いツナとファミリーをおびき出そうとしたんだな。」
ビアンキが骸に操られたフゥ太に刺され、フゥ太自身も綱吉の言葉で正気を取り戻したがクラッシュし倒れてしまった。
リボーンはビアンキの応急処置をして立ち上がった。
あまりの事に綱吉はフゥ太の傍で呆然となる。
するとリボーンが一歩前にでる。
「まどろっこしいのは無しだ。骸、おめぇの目的は何だ。」
単刀直入に聞く。
「クフ、そう簡単にお話しすると思いますか?それにもうボンゴレ10代目には用はありません。綱吉君さえ手に入ればね。」
先ほどと変わらず骸に殺気は無いが、かといってこちらが攻撃できる隙もまったく無い。
嫌な汗が流れる。
「えらくツナに拘るじゃねぇか。てめぇとツナとの関係は何だ。」
「ふむ、まぁそれくらいなら答えて差し上げてもいいですよ。」
右手を顎に当てながら少し考え込むように骸は言った。
ごくりと綱吉は唾を飲み込む。自分と骸の関係とは…?
「僕は綱吉君の恋人です。」
綱吉はピシリッと石のように固まる。
「というのは冗談ですけどね。今はまだ、クフ。」
にこやかに冗談だと言う骸に綱吉は心の底から喜んだ。たとえ語尾のほうで気になる事を言われても。
(良かった!本当に冗談でよかった!いやもうマジで勘弁してください。)
記憶が無いだけに冗談にすまないことにだってなりかねないのだ。
そんな綱吉の様子を微笑ましく見ながら骸は続ける。
「綱吉君は簡単に言うと僕の命の恩人ですよ。」
「…はい?」
綱吉が骸の答えに間抜けな声を出す。
(い、命の恩人〜!?オレが?)
思いもよらない答えに綱吉は混乱した。
「命の恩人ねぇ、のわりには恩返しに来たって訳でもなさそうだがな。」
混乱する綱吉を他所にリボーンが続けた。
「クフフフフ、でもまさかボンゴレ10代目が綱吉君だとは思いませんでしたけど。まぁそのおかげで綱吉君が手に入る。」
「ふざけるな!そんなことで皆を傷付けるなんて!!」
混乱していた綱吉は激昂する。が骸はサラリと流す。
「ふざけてなどいませんよ。僕には綱吉君以外はいりませんので。僕はいつも君の事だけを考えていますよ。君が望むのなら君の記憶が蘇らないよう暗示をかけてあげることもできます。…怖いのでしょう、思い出すのが。」
「っ!?」
核心を突かれ綱吉は息をのむ。一度目を瞑り深呼吸する。そして俯いたまま答える。
「…怖いさ。怖いけど友達が傷付くほうがもっと怖い。」
それはここに来る前に思ったこと。
「――だからオレは―」
そこまで言い前を向くといつの間にか骸が目の前に立っていた。
しかしその瞳はとても悲しそうに綱吉を見ていた。そしてその頬に右手を添える。
思わずビクッと綱吉は震え、骸を見上げる。

『約束です。必ず迎えに行きますから。』

骸の言葉に頭が真っ白になる。
(コレ ハ ユメデ ミタ……チガウ。マエ ニ タシカ…)
骸がクッと口角を上げた。そして右目の六が一に変わったと思うと周りは先ほどの映画館跡ではなくどこかの路地裏だった。
「えっ?えっ!?」
突然のことに綱吉は混乱しながらキョロキョロと辺りを見回す。
するとリボーンが呟く。
「…パレルモか?」
(それってどこ?外国?)
確かに日本とは雰囲気がまったく違ったし道もアスファルトではなく石で出来ている。
壁が所々で崩れて瓦礫の塊が点々と見られる。独特のすえたなんとも言えない匂いが鼻をつく。
(パレ…ルモ?日本じゃないよなぁ。)
外国に行ったことがないというか日本から出た覚えがない綱吉だが何故かこの光景を知っていた。覚えてはいない、でも知っている。
酷い頭痛が綱吉を襲う。頭の中で警鐘がガンガン鳴り響く。
次第に心臓の音が大きくなる。息が荒くなる。掌に汗が纏わりつく。右手でギュゥと服の胸の辺りを掴む。先ほどの路地裏の独特の匂いとはまた違う錆びた鉄の匂いがする。腹の底からグッと何かが込み上げてきた。
振り向いてはいけない、そう思うのに綱吉はゆっくりと振り向く。
男がうつ伏せになっていた。
一見するとただ倒れているだけのようにも見えなくも無いがリボーンは職業柄か気が付く。
あれは――――――――――――――――――――――――――死体だ。
「う、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああ。」
綱吉の叫び声と共に元の映画館跡に戻る。
今にも倒れそうな綱吉を骸は抱きしめる。辛そうに愛おしそうに。
「てめぇ何をしやがった。」
地を這うようなリボーンの声は凄まじい怒気が含まれていた。
「六道輪廻という言葉をご存知ですか?」
骸は抱きしめた綱吉の背中を撫でながら微笑み言った。
リボーンは訝しげに思いながらも答える。
「人は死ぬと生まれ変わって、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天界道のいずれかへいくというやつだな。」
「僕の体には前世に六道すべての冥界を廻った記憶が刻まれていましてね、6つの冥界から6つの戦闘能力を授かった。今のが地獄道、永遠の悪夢により精神を破壊する能力。」
「ようは幻覚か。なんにせよそれが本当ならオメーはバケモンだな。」
「君に言われたくありませんよ。呪われた赤ん坊アルコバレーノ。」
2人が睨み合う。間で見えない火花が散る。
「そして先ほど見た光景が綱吉君の悪夢です。彼が記憶を封じるきっかけになった、ね。彼には少し大人しくしていただきたかったので。まぁこれくらいでは記憶は戻りませんけど。」
そこで骸は綱吉を放しゆっくり床に座らせる。綱吉は放心状態になっていた。
「あとはアルコバレーノさえ消えていただけたらすべては終わるのですけど。もしくは大人しく綱吉君を僕にいただけるでしたら楽なんですが。クフフフ。」
「俺は超一流の家庭教師なんでな、途中で生徒を放り出したりはしねーんだぞ。それにオメーなんかにツナは勿体無さ過ぎる。」
リボーンの言葉に骸は「おや?」っと言うと楽しそうに、実に楽しそうに笑った。
「そうですか、君もですか。クフフ、つくづく綱吉君は罪作りな人ですね。」
リボーンが小さく舌打ちする。
「君は確かこの戦いには手出しはしないそうですね。掟という実にマフィアらしい理由で。ですが、手加減はしませんよ。」
そう言いながら何処からだしたのか長い棒にフゥ太が持っていた三叉の武器を着け構える。
「俺は手出しはしねぇよ。俺が手をだすまでもねぇ。それにオメーは俺の生徒を見くびりすぎだ。」
骸は眉根を一瞬寄せるが攻撃の体勢で前へ出ようとした瞬間、袖を引っ張られる感覚にそちらへ目をやった。
「ダメだ!骸さん!!――No,no,assolutamente!!(絶対にだめです!!)」
骸は驚きの余り目を丸くする。
リボーンは綱吉が骸を止めようとしていたのに気が付いていたのだがイタリア語が飛び出したことに微かに動揺しているようだった。
放心状態だったはずの綱吉が必死に骸を止める。しかも、このタイミングにイタリア語で。
「綱吉君、もしかして君は全部思い出して――――くっ。」
骸が驚きに目を見開きながら綱吉に触れようとした瞬間、何かが骸に向かって飛んできた。それをキィンと甲高い音と共に床へ弾く。カラカラという音と共にトンファーが転がった。
「10代目、おそくなりました。」
獄寺の声に綱吉は振り向く。
入り口から獄寺とヒバリが肩を支え合いながら入ってきた。
「ヒバリさん!!獄寺君!!」
喜びの余り『恭弥さん』と言いそうになるのを堪え、ヒバリの無事な姿を見て綱吉は安心するが、直後にヒバリは獄寺をポイっと捨てた。
(…恭弥さん。なにも捨てなくても。)
心の中で突っ込みながら綱吉はヒバリを見てその怪我の酷さに目を丸くする。
「おや?綱吉君はそこの彼のことを知っているのですか?」
骸は意外そうに綱吉に問いかけた。
「彼にも綱吉君のことを聞いたのですが…どうやら僕は一杯食わされたようですね。」
のんびりした口調で骸は納得したように結論付けた。
ヒバリはフラフラな足取りで弾かれたトンファーを拾い骸に向かって構える。
「覚悟はいいかい?」
瞬時にヒバリの殺気が膨れ上がる。
「クフ、君は立ってるのもやっとのはず。骨を何本も折りましたからね。」
「そんなひどい怪我を!」
綱吉が止めようと動こうとするが2人の動きのほうが早かった。
ヒバリと骸の攻防戦は早すぎて綱吉には見えない。
だが、2人の実力は、ほぼ同等のように見えた。
やがて一旦、間合いをとると骸が少し考え
「確かに彼が怪我をしていなければ、勝負は分からなかった。ですが、今は時間のムダです。てっとり早くすませましょう。」
そう言い終わると次の瞬間、辺り一面に桜が現れる。
(もしかして恭弥さんの桜クラ病の事を知ってて!!)
綱吉の顔が真っ青になる。
骸は余裕の笑みでヒバリを見ている。
ヒバリがクラリと前かがみになる。
「ヒバリさん!!!!」
綱吉が叫ぶ。
一瞬、綱吉の声を聞きヒバリが笑ったように見えた。次の瞬間、ヒバリは倒れず腰を捻りながら右手のトンファーを骸に打ち込んだ。
「へへ…甘かったな。シャマルから桜クラ病の処方箋をあずかってたのさ。」
呆然とする綱吉に獄寺の声が聞こえた。
「それじゃあ。」
ヒバリはトンファーをクロスさせると骸が浮き上がり後ろへ倒れた。そしてそのまま動かない。
(もしかして、死んだんじゃあ。)
綱吉は顔面蒼白になる。
そんな綱吉の様子を見て考えがわかったのかヒバリは綱吉のほうを振り返りつつ答えた。
「殺しちゃいないよ。まだね。」
「まだって、殺す気なんですか!!」 しかしヒバリは綱吉の問いに答える前にフラリと倒れる。
「キョ、ヒバリさん!!」
驚いた綱吉はヒバリに駆け寄り、気を失っているだけなのを確認しホッとする。
だが周りは怪我人だらけなのを思い出し辺りを見回す。
「ボンゴレの優秀な医療チームがこっちに向かっているから心配ねーぞ。」
リボーンが綱吉のそんな様子を見て話してくれる。
そして綱吉は骸の状態を確認しようと振り向くと銃口が見えた。
銃を持っているのは――――骸だった。
「その医療チームは不要ですよ。」
そう言うと銃口を自らのこめかみに当てる。
「なっ、何を―――。」
綱吉が止めようとする。
その様子をみて骸がにっこりと綱吉に微笑みかける。
「Arrivederci」
銃口を引いた。
どさりと骸の体が倒れる。
「や…やりやがった。」
獄寺が苦々しく言う。
「捕まるくらいなら死んだほうがマシってヤツかもな。」
リボーンもいつも通り無表情だったがその言葉には少し力が無かった。
綱吉は呆然とはしていたが先ほどの幻覚を見たときのように放心状態にはなっていなかった。骸の死体を目にしているのに。
それをリボーンが訝しげに思い声を掛ける。
「…どうかしたか、ツナ?」
そう問われて綱吉はハッとリボーンを振り返り、何か言おうとした。
するとフゥ太に刺されて倒れていたビアンキが起き上がる。
「ついに…骸を倒したのね。」
綱吉は声のした方へ振り向く。
「アネキ!」
「無理すんなよ。」
無事気が付いたビアンキに獄寺とリボーンが声を掛ける。
が、綱吉だけ動けないでいた。
声が出ずに口だけが微かに動く。
肩を貸してほしいというビアンキに獄寺が手を出そうとする。
「待って!獄寺君!!」
「大丈夫ですよ。コレ位の怪我なんて事ありませんよ。」
綱吉は止めるが獄寺は怪我の心配をされたと思いそのままビアンキに手を差し出した。
次の瞬間ピッと獄寺の頬に赤い線が走る。
ビアンキが獄寺を切りつけたのだ。
「なにしやがる!!」
驚いた獄寺は後ろへ下がる。代わりにリボーンがビアンキの前へ出て彼女の鼻をペチペチと叩いく。
「しっかりしろ、刺したのは弟だぞ。」
「私なんてことを…」
ビアンキは大きく腕を振り上げ
「…したのかしら。」
リボーンに向かって三叉の刃物を振り下げる。リボーンはすかさず後ろへ飛んだ。
「こいつは厄介だな。何かに憑かれてるみてーだ。」
(…憑かれている)
綱吉は青褪めた顔をビアンキに向けた。
そして掠れた声だったが確信を持った口調で言った。
「ムク…ロ…さん。」
「クフフ、また会えましたね。」

骸が一歩前に出る。
「ヤツの剣に気をつけろ。あの剣で傷つけられると、憑依を許すことになる。」
「ええ!そ、そんな!」
リボーンの忠告により綱吉は少し後ずさる。
ビアンキだけでなく獄寺にまで憑依した骸は綱吉に襲い掛かった。
獄寺に憑依した骸の手にはフゥ太がビアンキを刺し、骸自身が武器として使っていた三椏に分かれた剣が握られていた。
「良くご存知で。もっとも僕はこの行為を契約すると言っていますがね。本当なら綱吉君を傷付けたくは無いのですが、色々と邪魔が入るようですから君に憑依して連れて行くことにしました。」
骸の言葉に綱吉は目を丸くする。
記憶を取り戻した今でも何故ここまで自分に執着するのか分からない。そういった表情をする綱吉に骸は言った。
「昔も言ったでしょう。僕は君に一目惚れしたんですよ。僕は欲しいものは絶対に手に入れる主義なんです。」
綱吉は困ったように眉をハの字にした。
動けないでいる綱吉の後ろでビアンキが立った。どうやら骸は複数に同時に憑依できるらしい。
さらに入り口の扉を破り、千種と犬が入ってきた。
右目には六の文字が見える。
「あれは…骸さんが4人!!」
「同時に4人、憑依するなんて聞いたことねーぞ。」
骸に憑依された4人が綱吉を取り囲む。
そこで綱吉は気が付く。
4人とも大怪我をしていることに。床に小さな血溜まりが幾つも出来てゆく。
「骸さん!血が―」
「僕は痛みを感じませんから、この体がどうなろうと知ったことではありません。」
淡々とした口調だった。
「そ、そんなの、おかしいよ。」
「…甘いですよ、綱吉君。ですが、今回はその甘さを利用させてもらいましょうか。」
そう言い終わると骸は獄寺が持った剣でビアンキを刺そうとする。
「お願いです!止めてください!!このままじゃあ死んじゃうよ!!」
「では逃げずに大人しく契約してください。」
叫ぶ綱吉に骸は動きを止め静かに言った。
「そんな…どうしよう………リボーン、どうしよう!!」
綱吉は振り返りながらリボーンに助けを求めた。
リボーンは腕を組んだまま答える。
「情けねぇ声出すな。俺は何もしてやれねーぞ。それに、いいかツナ、おまえは誰よりボンゴレ10代目なんだ。おまえの気持ちを吐き出せばそれがボンゴレの答えだ。」
(オレの…気持ち?オレは―――)
「…骸さんを止めたい。もうこんな事をやめさせたいんだ!!」
綱吉は心の底から叫ぶ。
その声に応えるようにマユとなっていたレオンが光りだす。
室内中に糸のようなものを張り巡らせその中心にマユの形状のレオンがいた。
「ついに羽化したな。」
「羽化!?」
リボーンが言うにはレオンは生徒に試練が訪れるのを予知してマユになり、生徒が成長すると羽化するという。
しかも羽化するとアイテムを吐き出すと。
ディーノの時には“跳ね馬のムチ”と“エンツィオ”を吐き出したらしい。
(エンツィオってレオンの子だったの〜!!)
綱吉にはどちらかというとそっちのほうが驚きだった。
すると今まで様子を伺っていた骸がレオンに向かって動き出した。
「目障りなこちらから片付けましょう。」
そしてレオンをあっさり真っ二つに切った。
「レ…レオン!!」
しかしレオンはムニョニョ〜と元のカメレオンの形に戻っていく。
「レオンは形状記憶カメレオンだから心配いらねーぞ。それより上に弾かれたようだぞ、アイテムが。」
そういいながらリボーンは上を見た。
綱吉もつられて上を見上げると何かが顔にぽふんと降ってきた。
「これって…毛糸の手袋〜〜!!?」
綱吉は降ってきた暖かそうな毛糸の手袋――しかも『27』の数字が入っている――を掴む。
「こんなんでどうやって戦うんだよ!!手の血行良くしてどうすんの!!?」
思わず綱吉が叫ぶのもムリはなかった。
しかし、リボーンはすっかり元に戻ったレオンを帽子のツバに乗せ少し考え言った。
「さーな……とりあえずつけとけ。」
「つけとけって……。」
そう言ったが、今は言われたとおりにするしかない。
「クフフフフ、最後のお話は終わりましたか?そろそろ僕のほうも終わりにしたいのでね。」
骸はそう言い綱吉のほうを見た。
(そうだ、オレは骸さんを止めるんだ!)
たとえそれがどんな無茶なことでも少しでも自分に彼を止めることが出来るのなら。
そう思い綱吉は手袋をした手を強く…強く握り骸に向き合った。



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