レグルスのヒナ5


※レグルスのヒナX※



「こうやってテールを二つのリングに通して、折り返して片一方のリングに通すのよ。あとは肩に掛けてサック、赤ちゃんが入るところね。ここはヒジの高さになるようにね。覚えた?ツッ君」
「…忘れそう」


綱吉は泣いていた『つな』を抱っこしてなんとか宥めると、一階から奈々に「ツッ君、ちょっと来て〜」と呼び出された。ちなみにランボは泣きながら部屋を出て行った。この場合自業自得だろう。
一体何なのだと『つな』を抱っこしたまま下の階へ降りると奈々が布をヒラヒラとさせていた。
一瞬、また布オシメかと思ったがどうも違うようだ。


「その子を抱っこするときにスリングを使ったら楽よ」
「すりんぐ?」


どうやら、スリングというのはおんぶ紐とはまた違うようで、袋状の抱っこ紐のようなものらしい。
おんぶ紐と違い、正面で赤ん坊を抱っこする為、抱っこしている人と密着して赤ん坊にはいいらしいのだが…綱吉はその使い方に少し戸惑っていた。
ちょっとコツがいるらしく、慣れた人なら十秒もかからず赤ん坊を抱っこ出来るらしいが(実際、奈々は十秒かからず出来ていた)ただでさえ不器用な綱吉だ。奈々に教えてもらいつつも、もう既に少し混乱している。
慣れるまで時間が掛かりそうだ。
なんとかスリングを着けて『つな』を抱っこする。『つな』は嬉しそうに、にぱぁと笑っている。綱吉はつられてにこぉと笑う。



「あらあら、本当にツッ君の子どもみたいね。ふふ、そうしたら私もおばぁちゃんね」



にこにこと奈々は何気なく言うがある意味間違ってない為、一瞬綱吉はウッと詰まった。
妙に鋭い。
こういう時はさっさと逃げるのが自分の為だと綱吉は知っていた。



「nana,nana」



しかし綱吉の胸の中でご機嫌な『つな』は奈々を見て彼女の名前を言った為、その場に綱吉は引き止められることとなった。


「あら、うれいしい。ツッ君この子にお母さんの名前を教えたの?」
「え!お、教えた覚えはないんだけど」
「じゃあ、この子がひとりでに覚えたのね。偉いわねぇ」


そう奈々が感心していると玄関のインターホンが鳴った。
奈々は「一体誰かしら?」と玄関に行ってしまった。


「それにしてもどうやって母さんの名前を覚えたんだろう?十年後で教えてもらってたのかな?」
「ちがうぞ、nanaはイタリアの幼児語で祖母。つなは奈々をみて『おばあちゃん』って言ってたんだ」
「……イタリア語が混ざるとややこしい」


実際、『つな』が話す言葉はイタリア語と日本語が混ざっており綱吉にはさっぱり分からないときがある。
とりあえず自分の部屋に帰ろうと思ったが玄関から声がかかる。


「ツッ君〜、獄寺君が来てくれたわよぉ〜」
「十代目!!おじゃまします。今日はスイカを持ってきたんスよ」
(そういえば、山本と一緒に今日はウチに来るって言ってたっけ)


綱吉は更なる波乱の予感に肩を落とした。


 


綱吉の部屋では何とも気まずい雰囲気が広がっていた。


「じゃあ、そのガキ、いやお子様は十一代目ってことですか!!」
「あ、いや、それは分かんないけど十年後のオレの子どもらしいよ。そうだ、山本はどうしたの?今日一緒に来るって言ってなかった?」


なんとか話題を別に反らせたい綱吉は半ば無理やり山本のことを聞いた。


「あの野郎は寝坊したとかで、置いてきました」
「べ、別にそんなゆっくり一緒に来てくれても良かったのに」
「いいえ!!十代目をお待たせするわけにはいきませんから!!あんなヤツのことより一体誰との間に子どもが!!」


獄寺は目に涙を溜めながら綱吉に聞いた。
あまりの剣幕に綱吉は少し引く。


「いや、それも分かんなくて…」
(守護者の誰かだなんて言えないよ)
「守護者の誰かだぞ」
(って、えええぇぇぇえええ!!言っちゃったよ!!!)


リボーンは綱吉のベットの上で足を組み、エスプレッソを飲みながら獄寺にあっさりバラした。


「守護者の誰か…ということは十代目が腹を痛めて産んだってことですか!!」
「いや、痛めてないからっ!!オレ男だし!!」
「受精卵さえあれば男でも直腸で育てられるらしいぞ」


「混ぜっ返すなよ、リボーン!!」と綱吉は怒ったが、リボーンは何処吹く風といった様子だ。


「しゅ、守護者の一体誰が十代目を孕ませたんですか!!!」


獄寺の中ではもう綱吉が腹を痛めて『つな』を産んだことになっているようだ。
リボーンはこれまでの事を簡単に話した。


「ちなみにアホ牛はすでに脱落済みだ。全ての鍵はつなが握っているぞ。言うなれば『守護者対抗父親争奪戦綱吉杯』といったところか」
「なんだよそりゃ!!」


思わず綱吉は突込みを入れるが、獄寺の目は異様に光っている。マジだ。
そして『つな』の前に来ると勢い良く話し始めた。


「十一代目!!僭越ながら私、獄寺隼人こと十代目の右腕として、そして伴侶としてボンゴレを更に発展させていく所存であります。どうぞ父とお呼び下さって構いません!!!」
「伴侶ってなんだよ!!伴侶って!!」


当の『つな』はキョトンとしていたが、にぱぁと笑い


「わんわん」


と言った。
数秒後に獄寺が固まった。
綱吉はなんとなく分かってはいたが一応リボーンに問うた。


「…え〜と、リボーンさん。今の言葉の意味は?」
「犬」
(ああ、やっぱり)


「十年後では日本語とイタリア語で話している様だな。まぁ、獄寺隼人も脱落と」


リボーンは獄寺の名前の上から大きくバツをつけた。


 


※あとがきみたいなもの※
きっと守護者は日本語で話しかけて、その他の人はイタリア語で話しているんだと思います。
ああ、でも獄寺の扱いが酷すぎる。





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