レグルスのヒナ2



リボーンに蹴られた後頭部を撫でながら綱吉は涙目で目の前の赤ん坊を見た。
すると赤ん坊はよじよじと綱吉によじ登ろうとする。

「ちょっ、コラ、ダメだろ。え〜と・・・」

そう言えばこの赤ん坊の名前が分からない。
手紙には書いてあったのだろうがところどころ滲んで文字が読めなかったのだ。
滲んだ原因は恐らくこの子の涎だろう。
手紙を開くときすこしパリパリしていたのだ。

「つな」
「へ?なに?」

リボーンに急に呼ばれて綱吉は返事を返す。
いつの間に着替えたのか、先ほどまでのパジャマではなくいつのも黒スーツに姿になっていた。

「オメーはダメツナだ。名前がなければ不便だろ。だからその赤ん坊はつなだ」
「んなっ!勝手に決めんなよ、お前」
「あ〜♪」

しかし、綱吉の反論は『つな』(暫定)によって却下された。
何故か喜んでいる。

「つなは喜んでるぞ」
「・・・お前、つなでいいの?」
「あい〜♪」

にぱ〜と笑いながら『つな』は嬉しそうに答えた。
(うん、きっとあれだ、赤ん坊のことは赤ん坊が良く分かるってことで)
すると後ろからドカっという音と共に綱吉の背中に衝撃が走る。
「痛っ!何すんだよリボーン!!」
「オメーの考えてることは単純すぎで分かりやすいんだぞ」

どうやら先ほどの綱吉の考えが気にいらないらしく、後ろから背中を蹴ったらしい。
それにしても困った。
綱吉は悩む。いきなり十年後の自分から赤ん坊をしばらく預かってくれと言われ、あまつさえその赤ん坊が自分の子供だと言うのだ。
俄かには信じられない。
しかし、目の前の赤ん坊は確かに自分の赤ん坊の頃の写真に似ていると思うし、このまま放っておくこともできない。
一歳前後だろうか?まだハッキリと言葉を話せないようだが、妙に意思はハッキリしてる。
色々と綱吉が考えているとつなが愚図りだした。

「え?え?なんだ、どうしたの?」
「赤ん坊が愚図ると言えば決まってるだろう、ミルクかオシメだ」
「ふぇ〜」

(ミルクかオシメってどっちもオレには分からないよ!!)
結局、綱吉はまだ眠っているであろう自分の母親である奈々を起こしに行く羽目になった。


奈々を起こしたはいいけれど、この『つな』の言い訳が見つからない。
奈々にこの子はどうしたの?と聞かれて綱吉はそれこそまるで赤ん坊のように「あ〜、う〜」と言葉にならない言葉を口にした。
そんな綱吉にリボーンが助け舟を出した。

「その赤ん坊は、ツナが一週間ベビーシッターで見ることになったんだぞ。学校教育の一環だ」
「あら?そうだったの、だったらそう言ってくれれば良かったのに」
「ご、ごめん。急に決まったんだ」

あり得ない。急にそんなことが決まるわけないのだ。しかし、奈々は天然を発揮し、まったく疑うことなく素直にリボーンのウソを信じたようだ。
綱吉としてはありがたいが、こんなウソすら信じてしまう自分の母親が少し心配にもなる。
奈々は綱吉から『つな』を受け取り「あら、オシメの交換のようね」というと襖を開けて何かを探し出した。

「あっ、あったわ、ほらツッ君の布オシメ」

嬉しそうに奈々はオシメを握ってわざわざ綱吉に見せてくれた。
・・・・マジで勘弁して欲しいと思った綱吉だった。


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