十年後に行ってきました3
目が覚めると自分の部屋の天井が見えた―――なんてことには残念ながらならなかった。
起きて早々、重い溜め息をつく。
半目で小さくなった自分の手を穴が開くほど見つめるが、現状は変わらない。
綱吉の姿は四歳児のままだ。
いつまでもこうしている訳にも行かず、ベットから這い出て扉に向かった。
(くっ、ドアノブが高い。)
幼児体型になり背が低くなった綱吉は必死に背伸びをするが、中々ドアノブに手が届かない。
しかし努力のかいあってか、ようやくドアノブを回すことに成功した。
「ようやく起きたようだね。」
扉の隙間からちょこんと顔を覗かせた綱吉に、ヒバリはソファーに座ったまま声を掛ける。
綱吉はヒバリの声に驚きそちらへ顔を向ける。
が、その光景を見て少し顔を引き攣らせた。
ソファーにはヒバリと骸が向かい合わせに座り紅茶を飲んでいた。
だが、その周りにはどす黒い瘴気とも殺気ともとれるモノが漂っていた。
こんな状態のこの二人が、大人しく話をするようなことがあっただろうか。
「どうかしましたか?綱吉君。」
「あ、いえ、何でもないです。」
固まっていた綱吉は骸の声でハッと気が付き返事をした。
しかし、あまりの光景だった為、その場から動けない。
「いつまでそこにいるつもり、君も座ったら?」
「え?…はい。」
ヒバリに席を勧められるが、それはそれで困ってしまった。
部屋の真ん中に二人掛けのソファーが二つ。
手前のソファーにはヒバリが。テーブルを挟んだ奥側のソファーには骸が。
綱吉が座るにはどちらかの隣に座らないといけない。
(う〜、どっちを選んでも怖いよ〜。)
そんな綱吉の考えが読めたのかヒバリは立ち上がり、綱吉の前に立つ。
そして小さな綱吉を抱き上げ自分の席の隣へ降ろした。
同時に骸は不満そうな声を上げるが
「早い者勝ち。」
ヒバリはどこ吹く風とあっさり一蹴した。どこか嬉しそうだ。
「あ、あの恭弥さんは昨日ドコで寝てたんですか?オレ、ベット占領しちゃったから申し訳なくて…もしかしてソファーで…とか。」
「……寝てないよ。」
「へ?」
「寝てない。」
綱吉は昨晩ヒバリのベットを借りて寝ていたのだが、ヒバリ自身はどこかへ行ってしまったため、どこで寝たのか心配していたのだ。
しかし、その問いに答えたヒバリの声は実に素っ気無いものだった。
「寝てないってオレがベットを取り上げたから?」
困ったように綱吉はヒバリを見上げた。
「…違うよ。…目の前のこの電波が悪い。」
「クフフ。」
否定するヒバリの声はかなり冷ややかなものだった。
先ほどとは逆に、骸は薄い笑みを浮かべていた。
綱吉はワケが分からずキョトンとする。
昨晩は知られざる攻防戦があったのだ。
◇◇◇
ヒバリは綱吉を自分のベットに寝かせ寝室をでた。
そして当然のようにいる骸を冷ややかな目で見る。
「君、なんで僕の部屋にいるの?」
「そりゃ、綱吉君の添い寝に。」
「必要ないよ。君、あんな幼児にまで手を出すつもり?」
「クフフ、僕は綱吉君であればどんな姿でも愛せる自信がありますから。
もみじの様な小さな手も、プニプニのもちもちほっぺも全て愛おしいですよ。
最近では見られなくなった怯えた顔も中々。
あの少し高めの声も。子供特有の少し舌ッ足らずな口調で骸さんなんて言われるとゾクゾクしますね。」
「…………変態。」
だが、クフフフと笑うと骸は「それよりも」と言って
「君は綱吉君に帰ってきて欲しくないのですか?」
と聞いた。
思いも寄らぬ骸の質問にヒバリは絶句する。
「先ほどからずっと気にはなっていたのですよ。
君は今いる綱吉君が帰れなかった時、思ったよりも驚きが少なかったようですが。むしろ『ほっ』としていたような気がしますね。」
「…黙れ。」
殺気の込もった口調で骸を牽制する。
それを見て骸は楽しそうに口角を歪めた。
「クフ、図星ですか。」
「君には関係ない。」
ヒバリは骸と睨みあい、空間を殺気で埋めた。
かと言って骸を追い出す為に、騒ぎすぎると綱吉が起きる可能性がある。
ヒバリはいつか殺すと誓いながら、骸との目に見えない攻防戦を今まで繰り広げていたのだ。
◇◇◇
そんなことがあったことなどまったく知らない綱吉は、二人の顔を交互に見たが彼らが出すどす黒いオーラに圧され、そのことについては聞くことも出来なかった。
(きっと知らないほうがいいこともあるんだ。)
綱吉は諦めるということを覚えた。
「そ、そういえば他にココって昔の知り合いとかいるんですか?」
なんとか話を逸らそうと聞いてみる。
「さあ、僕は興味ないですから。」
骸は本当に興味無さそうに言った。
(…この人ってホント自分以外に興味ないんだな。)
綱吉は聞いた自分が悪いとばかりに肩を落とした。
実際、骸は自分と綱吉以外に興味は無いのだが。
ヒバリも答える気はまったく無さそうだ。
そんなこんなで本日何度目かの溜め息をつこうとすると、ノックも無しにバァンと扉が開け放たれた。
同時に女性の声がした。
「雲雀さん!聞きましたよ!ツナさんに隠し子がいたらしいじゃないですか!!
酷いです。今までハルにまで黙ってるだなんて。
そりゃあハルはツナさんの正妻の座を狙ってますが、愛人の一人や二人許せない程、狭量の持ち主ではありません。マフィアのボスの妻たる者いつでも覚悟は出来ています。
確かに愛人の子が後継者になることもあるでしょう。
ですが!!その子を育てる権利はハルにもあるはずです!!!」
『いや無いだろう』と誰もが思ったが、敢えて突っ込まなかった。
一気に捲くし立てるハルに綱吉は呆然としている。
しかしヒバリと骸はまた面倒な、といった雰囲気を醸し出していた。
ハルはソファーに座る綱吉を見つけると目をウットリさせ、物凄い勢いで近づいてきた。
思わず綱吉は引いたがハルはお構い無しに綱吉を抱きしめた。
「か、かわいいです〜。お手々小さいですねぇ。
怖かったでしょう。こんな無愛想な人と変態と一緒だったんですから。ですがハルが来たからにはもう安心です。彼らの魔の手から必ずハルが守って差し上げます。」
どちらが無愛想でどちらが変態かは、聞くまでもないだろう。
頬擦りまでしてくるハルに綱吉は顔を赤らめる。
「ハ、ハルお願いだから離して。それ誤解だから。」
「はひ!?どうしてハルのこと知ってるですか?
もしかしてツナさんから『ハルは君の母親だよ』と言われたとかですか。やだ、ツナさんたら子供にはそういうこと言うくせにハルには言ってくれないですから。
分かりましたツナさん。ハルが立派に後継者を育てて見せます。」
(分かってない、分かってないよ、この人!?)
どんどんと妄想を膨らませるハルに流石の綱吉も突っ込みきれない。
「綱吉を帰してくれる。」
「いい加減、綱吉君を離してくれませんか。」
同時に二人にそう言われハルはキョトンとする。
ハルの腕の中の綱吉はグッタリしていた。
助かったのに、助かった気分になれないのは何故だろう。
「はひ!?この子はツナさんの子供ですから、ツナさんじゃないですよ?」
ようやく止まったハルの暴走に綱吉は喜んだが、精神的にはどっと疲れが溜まった。
後書きみたいなもの
ハルは初書きですが、書くのは楽しかったです。
また書きたい。
次で一応終わりです。
>>4
起きて早々、重い溜め息をつく。
半目で小さくなった自分の手を穴が開くほど見つめるが、現状は変わらない。
綱吉の姿は四歳児のままだ。
いつまでもこうしている訳にも行かず、ベットから這い出て扉に向かった。
(くっ、ドアノブが高い。)
幼児体型になり背が低くなった綱吉は必死に背伸びをするが、中々ドアノブに手が届かない。
しかし努力のかいあってか、ようやくドアノブを回すことに成功した。
「ようやく起きたようだね。」
扉の隙間からちょこんと顔を覗かせた綱吉に、ヒバリはソファーに座ったまま声を掛ける。
綱吉はヒバリの声に驚きそちらへ顔を向ける。
が、その光景を見て少し顔を引き攣らせた。
ソファーにはヒバリと骸が向かい合わせに座り紅茶を飲んでいた。
だが、その周りにはどす黒い瘴気とも殺気ともとれるモノが漂っていた。
こんな状態のこの二人が、大人しく話をするようなことがあっただろうか。
「どうかしましたか?綱吉君。」
「あ、いえ、何でもないです。」
固まっていた綱吉は骸の声でハッと気が付き返事をした。
しかし、あまりの光景だった為、その場から動けない。
「いつまでそこにいるつもり、君も座ったら?」
「え?…はい。」
ヒバリに席を勧められるが、それはそれで困ってしまった。
部屋の真ん中に二人掛けのソファーが二つ。
手前のソファーにはヒバリが。テーブルを挟んだ奥側のソファーには骸が。
綱吉が座るにはどちらかの隣に座らないといけない。
(う〜、どっちを選んでも怖いよ〜。)
そんな綱吉の考えが読めたのかヒバリは立ち上がり、綱吉の前に立つ。
そして小さな綱吉を抱き上げ自分の席の隣へ降ろした。
同時に骸は不満そうな声を上げるが
「早い者勝ち。」
ヒバリはどこ吹く風とあっさり一蹴した。どこか嬉しそうだ。
「あ、あの恭弥さんは昨日ドコで寝てたんですか?オレ、ベット占領しちゃったから申し訳なくて…もしかしてソファーで…とか。」
「……寝てないよ。」
「へ?」
「寝てない。」
綱吉は昨晩ヒバリのベットを借りて寝ていたのだが、ヒバリ自身はどこかへ行ってしまったため、どこで寝たのか心配していたのだ。
しかし、その問いに答えたヒバリの声は実に素っ気無いものだった。
「寝てないってオレがベットを取り上げたから?」
困ったように綱吉はヒバリを見上げた。
「…違うよ。…目の前のこの電波が悪い。」
「クフフ。」
否定するヒバリの声はかなり冷ややかなものだった。
先ほどとは逆に、骸は薄い笑みを浮かべていた。
綱吉はワケが分からずキョトンとする。
昨晩は知られざる攻防戦があったのだ。
◇◇◇
ヒバリは綱吉を自分のベットに寝かせ寝室をでた。
そして当然のようにいる骸を冷ややかな目で見る。
「君、なんで僕の部屋にいるの?」
「そりゃ、綱吉君の添い寝に。」
「必要ないよ。君、あんな幼児にまで手を出すつもり?」
「クフフ、僕は綱吉君であればどんな姿でも愛せる自信がありますから。
もみじの様な小さな手も、プニプニのもちもちほっぺも全て愛おしいですよ。
最近では見られなくなった怯えた顔も中々。
あの少し高めの声も。子供特有の少し舌ッ足らずな口調で骸さんなんて言われるとゾクゾクしますね。」
「…………変態。」
だが、クフフフと笑うと骸は「それよりも」と言って
「君は綱吉君に帰ってきて欲しくないのですか?」
と聞いた。
思いも寄らぬ骸の質問にヒバリは絶句する。
「先ほどからずっと気にはなっていたのですよ。
君は今いる綱吉君が帰れなかった時、思ったよりも驚きが少なかったようですが。むしろ『ほっ』としていたような気がしますね。」
「…黙れ。」
殺気の込もった口調で骸を牽制する。
それを見て骸は楽しそうに口角を歪めた。
「クフ、図星ですか。」
「君には関係ない。」
ヒバリは骸と睨みあい、空間を殺気で埋めた。
かと言って骸を追い出す為に、騒ぎすぎると綱吉が起きる可能性がある。
ヒバリはいつか殺すと誓いながら、骸との目に見えない攻防戦を今まで繰り広げていたのだ。
◇◇◇
そんなことがあったことなどまったく知らない綱吉は、二人の顔を交互に見たが彼らが出すどす黒いオーラに圧され、そのことについては聞くことも出来なかった。
(きっと知らないほうがいいこともあるんだ。)
綱吉は諦めるということを覚えた。
「そ、そういえば他にココって昔の知り合いとかいるんですか?」
なんとか話を逸らそうと聞いてみる。
「さあ、僕は興味ないですから。」
骸は本当に興味無さそうに言った。
(…この人ってホント自分以外に興味ないんだな。)
綱吉は聞いた自分が悪いとばかりに肩を落とした。
実際、骸は自分と綱吉以外に興味は無いのだが。
ヒバリも答える気はまったく無さそうだ。
そんなこんなで本日何度目かの溜め息をつこうとすると、ノックも無しにバァンと扉が開け放たれた。
同時に女性の声がした。
「雲雀さん!聞きましたよ!ツナさんに隠し子がいたらしいじゃないですか!!
酷いです。今までハルにまで黙ってるだなんて。
そりゃあハルはツナさんの正妻の座を狙ってますが、愛人の一人や二人許せない程、狭量の持ち主ではありません。マフィアのボスの妻たる者いつでも覚悟は出来ています。
確かに愛人の子が後継者になることもあるでしょう。
ですが!!その子を育てる権利はハルにもあるはずです!!!」
『いや無いだろう』と誰もが思ったが、敢えて突っ込まなかった。
一気に捲くし立てるハルに綱吉は呆然としている。
しかしヒバリと骸はまた面倒な、といった雰囲気を醸し出していた。
ハルはソファーに座る綱吉を見つけると目をウットリさせ、物凄い勢いで近づいてきた。
思わず綱吉は引いたがハルはお構い無しに綱吉を抱きしめた。
「か、かわいいです〜。お手々小さいですねぇ。
怖かったでしょう。こんな無愛想な人と変態と一緒だったんですから。ですがハルが来たからにはもう安心です。彼らの魔の手から必ずハルが守って差し上げます。」
どちらが無愛想でどちらが変態かは、聞くまでもないだろう。
頬擦りまでしてくるハルに綱吉は顔を赤らめる。
「ハ、ハルお願いだから離して。それ誤解だから。」
「はひ!?どうしてハルのこと知ってるですか?
もしかしてツナさんから『ハルは君の母親だよ』と言われたとかですか。やだ、ツナさんたら子供にはそういうこと言うくせにハルには言ってくれないですから。
分かりましたツナさん。ハルが立派に後継者を育てて見せます。」
(分かってない、分かってないよ、この人!?)
どんどんと妄想を膨らませるハルに流石の綱吉も突っ込みきれない。
「綱吉を帰してくれる。」
「いい加減、綱吉君を離してくれませんか。」
同時に二人にそう言われハルはキョトンとする。
ハルの腕の中の綱吉はグッタリしていた。
助かったのに、助かった気分になれないのは何故だろう。
「はひ!?この子はツナさんの子供ですから、ツナさんじゃないですよ?」
ようやく止まったハルの暴走に綱吉は喜んだが、精神的にはどっと疲れが溜まった。
後書きみたいなもの
ハルは初書きですが、書くのは楽しかったです。
また書きたい。
次で一応終わりです。
>>4