十年後に行ってきました1
……ヤバイ、このままじゃ確実にヤバイ。
立派なマホガニー製の机の上で綱吉は両手で頭を抱え込んだ。
(何で!?どうして!?あれから絶対五分以上は経ったよね???)
五分どころか軽く三時間以上経っているのだが、綱吉はただただ混乱するだけだった。
ふざけたランボが綱吉に向かって十年バズーカーを誤射するまでは、確かに自分の部屋にいたのだが、煙が視界から消えるとそこは見覚えの無い場所だった。
重厚そうな扉、趣味のいいソファー、そして高価そうな机と高く積みあがった書類。
唖然とするしかない綱吉だったが、まだこの時は『五分』経てば帰れるから、と高を括っていた。
しかし残念ながら待てど暮らせど帰れる様子は無かった。
焦った綱吉はしばらく部屋の中をウロウロと、当てもなく歩き回るが現状は変わらない。
とりあえず見つかってはいけないような気がして机の下に隠れる。
部屋の外にでるという考えはまったく無かった。
(ここって十年後だよね。でも日本じゃなさそうだし、もしかしてイタリ…いや、いやそんなことないよきっと。自分は日本でダメライフを満喫するんだから!)
綱吉は現実を受け入れたくなくて、とりあえず自分の考えを否定する。
そんなことを考えていると
「綱吉、入るよ。」
ガチャッと云う音ともにドアが開き誰か入ってきた。
綱吉は聞き覚えのある声にビクッと反応し、机の下で息を潜めた。
(この声って、もしかして…うわ〜ん、早く出て行ってくれぇ〜!!)
しかし、声の主は無人の椅子を見てふぅと、溜め息をつくと迷いなく机に近づいてきた。
「君もいい加減いじけるのを止めたらどうだい?まぁ、いつものように逃亡しないだけマシだ…」
机の下を覗き込もうとしながら、話しかけていたヒバリは思わず言葉を止め、滅多にない驚きの表情を見せていた。
そして、ある考えに思い至り聞いた。
「もしかして、十年前の綱吉かい?」
そこには確かにヒバリの探し人が居たのだが机の下で、今にも泣きそうな顔をしているのは十年前の綱吉だった。
「君、そんなとこで何してるの?」
「そ、それが……あの…」
「何、早く言わないと咬み殺すよ。」
「うっ、何だか分からないんですけど帰れないんですっっ!!」
ヒバリに脅された綱吉はそう叫ぶと、泣き出してしまった。
綱吉の言葉に少しの間フリーズしていたヒバリだが溜め息をつき、泣き出した綱吉の顔を自分の肩に当て、泣き止むのを待ってやった。
◇◇◇
ようやく落ち着いた綱吉にヒバリは紅茶を入れ差し出した。
「良かったら飲みなよ。」
「…ありがとうございます。」
極々普通のやり取りなのだがヒバリとしては、綱吉の素直な態度を久しぶりに見て少し驚いていた。
そして改めて十年前の綱吉なのだと認識する。
「それで、君はココに来てからもう三時間以上経ってるんだよね?」
「あ……はい。多分。」
綱吉はヒバリの問いに力なく答えた。
その目は泣いたせいで少し赤く腫れている。
ヒバリは十年バズーカの誤射により、十年後に来てしまった綱吉の話を聞き、なんとなく彼が帰れない理由が分かった。
「綱吉。多分、君が帰れないのは十年後の君のせいだよ。」
「じゅうねんごの?」
ぽんやりとティーカップを握り締めたまま綱吉はヒバリを見た。
その顔を見て少し『いじめてやりたい』という嗜虐心に駆られるが、なんとか耐える。
「多分だよ。恐らくその武器に興味を抱いて弄ってたら壊してしまった。というところだろうね。」
まるで見てきたようにヒバリは語る。
そしてあながち間違っていないその予想は恐るべきものだ。
「どちらにせよ、コチラからはどうすることも出来ないよ。まぁ向こうも直そうとするとは思うから、それを待つしかないね。」
「そ、そんなぁ。」
ヒバリのあっさりとした答えに、綱吉はまた泣きそうになる。
しかしそこで扉をノックする音がし、綱吉はビクッとする。
ヒバリはスッと立ち上がり扉まで行き誰かとニ、三話をすると綱吉を振り返った。
「悪いけど、少しココを離れるけど君は……ココを出ないほうが良いね。」
綱吉の今の姿を見てヒバリは言った。
確かに今の綱吉はTシャツに膝丈のハーフパンツといった普通に部屋着だった。
しかしこのボンゴレの本部では異様だ。
ちなみに十年後に来る前は部屋にいた為、靴下すら履いていなかった。
「すぐ戻るよ。」
そう言ってヒバリが出て行くとまた綱吉は一人になり妙に寂しくなる。
帰れないという不安・戸惑い・焦りそれらが綱吉の中を支配しようとしていた。
しかし、それらを払拭しようと綱吉は呟く。
「十年後のオレのバカ。何でバズーカー壊すんだよ。」
綱吉はブツブツと十年後の自分に対する愚痴を零し始める。
だが、そんな事を言っても仕方が無い事を改めて思い知らされただけだった。
大きく溜め息をつく。
次の瞬間、ゾクッと悪寒が走った。
(こ、この気配は。)
綱吉はとっさにソファーの後ろに隠れた。
「綱吉君!!会いに来ましたよ!」
隠れるとほぼ同時に扉が開く音とヒバリではない声が響いた。
(な、なんで?骸さんまで!?)
「クフ、かくれんぼですか?綱吉君。」
「ひっ!」
あっさり見つかった綱吉は頭上から掛けられた声に、引き攣った声を上げた。
しかし、骸はお構い無しにソファーをヒラリと飛び越え、綱吉の前に回った。
「これはこれは。懐かしいお姿ですね。」
「あ……骸…さん。」
綱吉が骸の名を呼ぶと彼は目を丸くした。
「骸さん…ですか。クフフ、これは益々懐かしいですね。」
骸は嬉しそうに言いながら座り込んでいる綱吉を立たせる。
その動きは慣れたもので、他の人が同じ事をやっても浮くだけだが、骸がやると様になっている。
しかし、当の本人はそんなことは考えておらず、懐かしさに浸っていた。
十年後の今では綱吉はもう骸を『さん』付けで呼んでいなかった為だ。
だが、そんなことを知らない綱吉は、首を少し傾げながら、キョトンとした顔を骸に向ける。
そんな綱吉の仕草に骸は
「綱吉君、かわいい。」
と先ほどの優雅な対応もどこへやら、ギュゥと抱きしめた。
驚いたのは綱吉だ。
「く、苦しいです。骸さん。」
しかし骸は綱吉を離そうとはしない。
最近は抱きしめる前に綱吉に殴られている骸なのだが、十年前の綱吉は良く分かっておらず大した抵抗もできない。
それをいいことに骸は、滅多に触ることのできない綱吉を堪能していた。
「いい加減に離れなよ。」
いつの間にか帰ってきたヒバリが無理やり綱吉を骸から引き離す。
「君もあっさり捕まらない!」
「す、すみません。」
ヒバリに怒られ素直に綱吉は謝った。
「おやおや、綱吉君をいじめてはいけませんよ。」
(いやいやいや、半分は骸さんのせいでしょ!!)
まるで自分は関係がないといった風に言う骸に、綱吉は心の中で突っ込んだ。
ヒバリは骸を冷たい眼差しで睨み不機嫌そのものと言った表情をする。
な、何なのだこの状況は…
睨みあうヒバリと骸の間に挟まれ、綱吉は居た堪れなくなっていた。
(うう、早く帰りたい。)
綱吉は『はぅぅ』小さく溜め息をつく。
だが、天の助けか自分の周りに見覚えのある煙が現れた。
「やった!やっと帰れる!!」
綱吉は心から叫んだ。もうこの状況には耐えられない。
そんな綱吉を骸は名残惜しそうにその様子を見ている。
ヒバリは複雑そうな顔をしていた。
「?…恭弥さん?」
綱吉が不思議に呟くが、次の瞬間には綱吉の姿は煙によって見えなくなっていた。
ヒバリと骸は煙が消えるのを待っていたが、ソレを見て二人とも珍しく固まった。
「綱吉?」
「綱吉君?」
ソレは自分の顔を手でペタペタと触り、自分の姿を見て目を丸くしていた。
「な、なんで〜?」
煙が消えた後には四、五歳程の綱吉が座り込んでいた。
後書きみたいなもの
急いで書くとワケ分からん状況になっております。
ちなみに十年後のツナを書くとアキノの場合、どうしてもスレたツナになってしまう…。
同時進行で『十年前に行って来ました』を連載してます。
一応、話的にはリンクしてます。(のはず) よろしかったら、そちらも読んであげてください。
両方、人物関係は『夢名残の空』と一緒です。
出来ましたら最後までお付き合いください。
>>2
立派なマホガニー製の机の上で綱吉は両手で頭を抱え込んだ。
(何で!?どうして!?あれから絶対五分以上は経ったよね???)
五分どころか軽く三時間以上経っているのだが、綱吉はただただ混乱するだけだった。
ふざけたランボが綱吉に向かって十年バズーカーを誤射するまでは、確かに自分の部屋にいたのだが、煙が視界から消えるとそこは見覚えの無い場所だった。
重厚そうな扉、趣味のいいソファー、そして高価そうな机と高く積みあがった書類。
唖然とするしかない綱吉だったが、まだこの時は『五分』経てば帰れるから、と高を括っていた。
しかし残念ながら待てど暮らせど帰れる様子は無かった。
焦った綱吉はしばらく部屋の中をウロウロと、当てもなく歩き回るが現状は変わらない。
とりあえず見つかってはいけないような気がして机の下に隠れる。
部屋の外にでるという考えはまったく無かった。
(ここって十年後だよね。でも日本じゃなさそうだし、もしかしてイタリ…いや、いやそんなことないよきっと。自分は日本でダメライフを満喫するんだから!)
綱吉は現実を受け入れたくなくて、とりあえず自分の考えを否定する。
そんなことを考えていると
「綱吉、入るよ。」
ガチャッと云う音ともにドアが開き誰か入ってきた。
綱吉は聞き覚えのある声にビクッと反応し、机の下で息を潜めた。
(この声って、もしかして…うわ〜ん、早く出て行ってくれぇ〜!!)
しかし、声の主は無人の椅子を見てふぅと、溜め息をつくと迷いなく机に近づいてきた。
「君もいい加減いじけるのを止めたらどうだい?まぁ、いつものように逃亡しないだけマシだ…」
机の下を覗き込もうとしながら、話しかけていたヒバリは思わず言葉を止め、滅多にない驚きの表情を見せていた。
そして、ある考えに思い至り聞いた。
「もしかして、十年前の綱吉かい?」
そこには確かにヒバリの探し人が居たのだが机の下で、今にも泣きそうな顔をしているのは十年前の綱吉だった。
「君、そんなとこで何してるの?」
「そ、それが……あの…」
「何、早く言わないと咬み殺すよ。」
「うっ、何だか分からないんですけど帰れないんですっっ!!」
ヒバリに脅された綱吉はそう叫ぶと、泣き出してしまった。
綱吉の言葉に少しの間フリーズしていたヒバリだが溜め息をつき、泣き出した綱吉の顔を自分の肩に当て、泣き止むのを待ってやった。
◇◇◇
ようやく落ち着いた綱吉にヒバリは紅茶を入れ差し出した。
「良かったら飲みなよ。」
「…ありがとうございます。」
極々普通のやり取りなのだがヒバリとしては、綱吉の素直な態度を久しぶりに見て少し驚いていた。
そして改めて十年前の綱吉なのだと認識する。
「それで、君はココに来てからもう三時間以上経ってるんだよね?」
「あ……はい。多分。」
綱吉はヒバリの問いに力なく答えた。
その目は泣いたせいで少し赤く腫れている。
ヒバリは十年バズーカの誤射により、十年後に来てしまった綱吉の話を聞き、なんとなく彼が帰れない理由が分かった。
「綱吉。多分、君が帰れないのは十年後の君のせいだよ。」
「じゅうねんごの?」
ぽんやりとティーカップを握り締めたまま綱吉はヒバリを見た。
その顔を見て少し『いじめてやりたい』という嗜虐心に駆られるが、なんとか耐える。
「多分だよ。恐らくその武器に興味を抱いて弄ってたら壊してしまった。というところだろうね。」
まるで見てきたようにヒバリは語る。
そしてあながち間違っていないその予想は恐るべきものだ。
「どちらにせよ、コチラからはどうすることも出来ないよ。まぁ向こうも直そうとするとは思うから、それを待つしかないね。」
「そ、そんなぁ。」
ヒバリのあっさりとした答えに、綱吉はまた泣きそうになる。
しかしそこで扉をノックする音がし、綱吉はビクッとする。
ヒバリはスッと立ち上がり扉まで行き誰かとニ、三話をすると綱吉を振り返った。
「悪いけど、少しココを離れるけど君は……ココを出ないほうが良いね。」
綱吉の今の姿を見てヒバリは言った。
確かに今の綱吉はTシャツに膝丈のハーフパンツといった普通に部屋着だった。
しかしこのボンゴレの本部では異様だ。
ちなみに十年後に来る前は部屋にいた為、靴下すら履いていなかった。
「すぐ戻るよ。」
そう言ってヒバリが出て行くとまた綱吉は一人になり妙に寂しくなる。
帰れないという不安・戸惑い・焦りそれらが綱吉の中を支配しようとしていた。
しかし、それらを払拭しようと綱吉は呟く。
「十年後のオレのバカ。何でバズーカー壊すんだよ。」
綱吉はブツブツと十年後の自分に対する愚痴を零し始める。
だが、そんな事を言っても仕方が無い事を改めて思い知らされただけだった。
大きく溜め息をつく。
次の瞬間、ゾクッと悪寒が走った。
(こ、この気配は。)
綱吉はとっさにソファーの後ろに隠れた。
「綱吉君!!会いに来ましたよ!」
隠れるとほぼ同時に扉が開く音とヒバリではない声が響いた。
(な、なんで?骸さんまで!?)
「クフ、かくれんぼですか?綱吉君。」
「ひっ!」
あっさり見つかった綱吉は頭上から掛けられた声に、引き攣った声を上げた。
しかし、骸はお構い無しにソファーをヒラリと飛び越え、綱吉の前に回った。
「これはこれは。懐かしいお姿ですね。」
「あ……骸…さん。」
綱吉が骸の名を呼ぶと彼は目を丸くした。
「骸さん…ですか。クフフ、これは益々懐かしいですね。」
骸は嬉しそうに言いながら座り込んでいる綱吉を立たせる。
その動きは慣れたもので、他の人が同じ事をやっても浮くだけだが、骸がやると様になっている。
しかし、当の本人はそんなことは考えておらず、懐かしさに浸っていた。
十年後の今では綱吉はもう骸を『さん』付けで呼んでいなかった為だ。
だが、そんなことを知らない綱吉は、首を少し傾げながら、キョトンとした顔を骸に向ける。
そんな綱吉の仕草に骸は
「綱吉君、かわいい。」
と先ほどの優雅な対応もどこへやら、ギュゥと抱きしめた。
驚いたのは綱吉だ。
「く、苦しいです。骸さん。」
しかし骸は綱吉を離そうとはしない。
最近は抱きしめる前に綱吉に殴られている骸なのだが、十年前の綱吉は良く分かっておらず大した抵抗もできない。
それをいいことに骸は、滅多に触ることのできない綱吉を堪能していた。
「いい加減に離れなよ。」
いつの間にか帰ってきたヒバリが無理やり綱吉を骸から引き離す。
「君もあっさり捕まらない!」
「す、すみません。」
ヒバリに怒られ素直に綱吉は謝った。
「おやおや、綱吉君をいじめてはいけませんよ。」
(いやいやいや、半分は骸さんのせいでしょ!!)
まるで自分は関係がないといった風に言う骸に、綱吉は心の中で突っ込んだ。
ヒバリは骸を冷たい眼差しで睨み不機嫌そのものと言った表情をする。
な、何なのだこの状況は…
睨みあうヒバリと骸の間に挟まれ、綱吉は居た堪れなくなっていた。
(うう、早く帰りたい。)
綱吉は『はぅぅ』小さく溜め息をつく。
だが、天の助けか自分の周りに見覚えのある煙が現れた。
「やった!やっと帰れる!!」
綱吉は心から叫んだ。もうこの状況には耐えられない。
そんな綱吉を骸は名残惜しそうにその様子を見ている。
ヒバリは複雑そうな顔をしていた。
「?…恭弥さん?」
綱吉が不思議に呟くが、次の瞬間には綱吉の姿は煙によって見えなくなっていた。
ヒバリと骸は煙が消えるのを待っていたが、ソレを見て二人とも珍しく固まった。
「綱吉?」
「綱吉君?」
ソレは自分の顔を手でペタペタと触り、自分の姿を見て目を丸くしていた。
「な、なんで〜?」
煙が消えた後には四、五歳程の綱吉が座り込んでいた。
後書きみたいなもの
急いで書くとワケ分からん状況になっております。
ちなみに十年後のツナを書くとアキノの場合、どうしてもスレたツナになってしまう…。
同時進行で『十年前に行って来ました』を連載してます。
一応、話的にはリンクしてます。(のはず) よろしかったら、そちらも読んであげてください。
両方、人物関係は『夢名残の空』と一緒です。
出来ましたら最後までお付き合いください。
>>2